ウォーキングシューズと身体の負担


歩きやすい靴は何が違うのか

 最近、健康増進のためにウォーキングをする人が増えてきました。ウォーキングには、ダイエットだけでなく、体幹を鍛えたり、身体を矯正するといった様々な効果があり、老若男女それぞれのモチベーションで幅広く取り組まれています。  またウォーキングには、ウォーキングに特化した「ウォーキングシューズ」というものがあります。当HALデザイン研究所は、ウォーキングシューズと一般のシューズと比較して、靴の形状の違い、筋肉の負担や歩き方にどのような違いがあるかを観察・評価しました。


(1)靴の形状の違い

 靴の形状からウォーキングシューズと一般のシューズと比較すると、最も大きく異なる点は、ウォーキングシューズは「靴の裏の形状が不安定」になるように作られていることが分かります。この形状が身体の負担や歩く姿にどのように影響を与えるでしょうか。今回、評価に用いたシューズ(表、裏)の形状を以下に示します。





(2)筋肉の負担の違い

 はじめに、歩行時の筋肉の負担を、筋電位を用いて計測しました。

 歩行時の筋負担を比較すると、ウォーキングシューズの方が「拇指外転筋(ぼしがいてんきん)」「ハムストリングス」「大腿直筋(だいたいちょっきん)」等がいづれも大きいことが分かります。足の親指で身体の安定を保ったり、膝を曲げるための筋肉です。

 これは、ウォーキングシューズは足の裏面が不安定なため、歩行時に身体が不安定になり、安定を保とうとしてそれぞれの筋肉が強く働いたことが考えられます。これにより、体幹が鍛えられたり、エネルギーの消費の増加が期待できます。





(3)歩き方の違い

 次に、歩き方の違いを観察しました。計測には、当社のマーカーレス3次元動作計測システム(商品名:AnakinSystem)を用いました。3台のDepthカメラを用いて、人の歩く姿を普段着のままで計測ができ、その様子を自由に視点を変えて観察できます。

 今回は、歩行速度と歩幅に着目しました。何れも、ウォーキングシューズの方が大きくなっています。一方で歩行速度の増加は、両者の歩調(毎秒、何歩歩くか)には、差が見られなかったので、歩幅が大きくなったことによるものと考えられます。つまり、ウォーキングシューズによって、「大股で歩かされている」という効果が分かりました。

計測結果を商品改善に活かす

 今回は取り上げませんでしたが、身体の前後左右への傾き、腕の振り方、足の運び、さらには足の裏に掛る圧力分布からも有効な知見が得られます。私たちは、つぶさにデータを観察することによって、全く新しいコンセプトの商品が創造できると信じています。長く歩いても疲れない、美しい歩行を助けてくれるなど考えられます。

 私たちは、計測結果を通して各部位を構成する最適な材質や形状の決定や足や足指に付けるサポーターの開発等もお手伝いできます。ご相談については、お問い合わせより承っていますので、気軽にご相談ください。